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賃貸中アパートは売却できる?押さえておきたい注意点と手順

八代市不動産売却

橋本 菜美

筆者 橋本 菜美

不動産キャリア1年

賃貸中のアパートを売却したいものの、入居者がいる状態で本当に売れるのか、どのような手順や注意点があるのか、不安を感じているオーナーは少なくありません。
実は、賃貸中のまま売却する方法と、一旦空室にしてから売る方法では、スピードや価格、リスクが大きく変わります。
さらに、借地借家法や賃貸借契約の承継、敷金や未納賃料の扱い、そして譲渡所得税やローン残高との関係など、事前に理解しておきたいポイントも多岐にわたります。
このコラムでは、賃貸中アパートの売却を検討しているオーナー向けに、基本的な仕組みから法律上の注意点、必要な書類や税金・資金計画まで、順を追って分かりやすく整理します。
売却後の手取り額をできるだけ確保しつつ、入居者とのトラブルも避けたいと考える方は、ぜひ最後まで読み進めて、後悔のない判断に役立ててください。

賃貸中アパート売却の基本と選択肢

賃貸中のアパートは、入居者がそのまま住み続けた状態で売却することが一般的で、この方法は「オーナーチェンジ」と呼ばれます。
建物の所有権が移転すると、対抗要件を備えた賃貸借契約は新しい所有者に承継されるため、入居者は契約条件を変えずに居住を続けることができます。
このとき、新しい所有者は家賃債権だけでなく、敷金返還債務なども併せて引き継ぐ仕組みです。
そのため、売主は家賃収入が継続している収益物件としてアパートを売却できる一方で、買主は購入直後から賃料収入を見込める点が特徴になります。

一方で、入居者に退去してもらい、空室の状態で売却する方法もあります。
空室であれば、買主は自己利用や別の賃貸運用など自由な使い方を検討しやすく、室内の状態も確認しやすいため、実需向けの買主に選ばれやすい面があります。
ただし、退去から売却完了までの期間は家賃収入が途絶えるうえ、空室期間が長引くと固定資産税や管理費等の負担が重くなる可能性もあります。
また、一般的にはオーナーチェンジ物件よりも空室物件の方が売れやすいとされる一方で、賃貸需要が弱いエリアでは空室での売却の方がかえって時間がかかる場合もあり、早期売却を重視するのか、価格を重視するのかといった優先順位を整理しておくことが重要です。

さらに、どのような賃貸中アパートが売却に向いているかも確認しておきたいところです。
一般に、空室が少なく稼働率が高いアパートは家賃収入が安定しており、買主にとって収益性を判断しやすいため、オーナーチェンジでの売却に適しているといわれます。
加えて、家賃水準と購入価格から算出される表面利回りや、建物の築年数、過去の修繕履歴なども重要な判断材料となり、これらの条件が整っている物件ほど、投資家から評価されやすい傾向があります。
そのため、売却を検討する際には、空室状況や賃料条件、修繕状況を整理し、収益性を分かりやすく示せる賃貸中アパートほど、市場で選ばれやすいと考えられます。

売却方法 主なメリット 主なデメリット
オーナーチェンジ売却 家賃収入を途切れさせず売却 買主が投資家に限定されやすい
空室での売却 自己利用希望者にも売却可能 空室期間の収入途絶と費用負担
高稼働アパート 収益性が分かりやすく高評価 空室発生時は価格下落リスク

賃貸中アパート売却で必ず押さえる法律上の注意点

賃貸中のアパートを売却する場合、所有者が変わっても入居者との賃貸借契約は基本的にそのまま引き継がれます。
借地借家法では、建物の譲渡により新たな所有者が前所有者の賃貸人としての地位を承継することが前提とされています。
また、入居者は新旧どちらの所有者に対しても、契約書に定められた期間の居住継続や更新などの権利を主張することができます。
そのため、売主であるオーナーは、売却後も入居者の居住権が確実に守られることを理解した上で、買主へ賃貸条件を正確に引き継ぐ必要があります。

一方的に入居者へ退去を求めることは、借地借家法の厳格な「正当事由」の要件を満たさない限り認められません。
裁判例では、老朽化や建替え、自ら居住する必要性などの事情に加え、立退料の提示状況などを総合的に考慮して、明け渡しの可否が判断されています。
単に「売却する予定だから」「空室にした方が売りやすいから」といった理由だけでは、正当事由があるとは判断されにくい傾向があります。
このため、売却を見据えて安易に入居者へ退去を求めるのではなく、オーナーチェンジとして入居継続を前提とした売却スキームを検討することが重要です。

賃貸中アパートを売却するときは、敷金や前払家賃、未納賃料などの金銭関係をどのように承継し、精算するかも大きなポイントになります。
一般に、建物の譲渡により賃貸人の地位が新所有者に移転すると、入居者から預かっている敷金返還義務も新所有者へ承継されると解されています。
前払家賃は引渡日を基準に日割精算を行い、未納賃料については、引渡しまでの期間分は原則として旧所有者の請求権とするなど、売買契約書で明確に取り決めることが不可欠です。
これらの取り決めが曖昧なまま引渡しを行うと、後に敷金返還や賃料請求をめぐって新旧オーナーと入居者の間で紛争が生じるおそれがあるため、専門的な条項を整えた契約書を用意することが望ましいです。

項目 売主側の注意点 買主側の確認点
賃貸借契約の承継 契約内容を正確に開示 借地借家法上の権利確認
立退きの可否 正当事由の有無を検討 立退料負担の有無を確認
敷金・家賃の精算 敷金残高と未納状況整理 承継範囲と精算方法確認

賃貸中アパート売却前に準備すべき資料と情報整理

賃貸中のアパートを売却する前には、まず賃貸借契約書と入居者ごとの情報を正確に把握しておくことが大切です。
入居者名簿には、氏名や入居開始日、連絡先、家賃支払状況などを整理しておくと、購入希望者が安心して検討しやすくなります。
さらに、各戸の賃料や入居状況を一覧にしたレントロールや、設備交換や大規模修繕の履歴をまとめた資料を準備しておくと、物件の収益性や維持管理の状況を客観的に説明しやすくなります。
これらの資料は、金融機関の融資審査においても参考とされることが多いため、最新の状態に整えておくことが望ましいです。

次に、各戸の賃料や共益費、駐車場料金、更新料、敷金や礼金などの賃貸条件を整理し、分かりやすく説明できるようにしておくことが重要です。
特に、賃料や共益費については、現行条件だけでなく、過去の改定履歴があれば併せてまとめておくと、今後の収益見通しを説明しやすくなります。
敷金については、預かり額と原状回復精算の基本的な考え方を整理し、購入後にどのように承継されるかを明確にしておく必要があります。
こうした条件は、後から口頭で補うよりも、一覧表などの書面で提示した方が誤解を防ぎやすく、交渉もスムーズに進みます。

また、サブリース契約や定期借家契約、家賃保証会社の利用がある場合には、それぞれの契約内容と期間、解約や更新の条件を事前に細かく確認しておくことが欠かせません。
国土交通省が公表しているサブリース住宅原賃貸借標準契約書や関連資料では、原賃貸借契約と転貸借契約の関係や、中途解約時の取扱いなどが整理されており、このような枠組みを踏まえて契約書の条文を読み込むことが有効です。
定期借家契約については、更新がなく期間満了で終了することや、事前説明書面の有無など、法律上の要件を満たしているかどうかを確認しておく必要があります。
保証会社利用の有無や保証内容も、滞納リスクや引き継ぎの可否に直結するため、契約書や約款を確認し、購入希望者に説明できるよう整理しておくことが望ましいです。

準備すべき資料 主な記載内容 買主への説明ポイント
賃貸借契約書一式 契約期間・賃料・特約事項 入居者の権利関係と契約条件
入居者名簿とレントロール 入居状況・賃料・滞納有無 現在の収益力と空室リスク
修繕履歴と見積書類 工事内容・実施時期・費用 建物状態と今後の修繕見通し
サブリース等の契約書 期間・解約条件・保証内容 賃料保証の有無と承継条件

賃貸中アパート売却に伴う税金と資金計画の注意点

賃貸中のアパートを売却すると、売却益が出た場合には譲渡所得税と住民税が課税されます。
不動産の譲渡所得は、売却代金から取得費や譲渡費用などを差し引いて計算することになっており、そのうえで所有期間に応じて税率が異なります。
国税庁の情報では、所有期間が譲渡年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで、長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分されます。
賃貸中アパートを売却する際は、まず所有期間と概算の譲渡所得額を把握し、税負担の大きさを事前に把握しておくことが重要です。

長期譲渡所得の場合は、所得税と復興特別所得税の合計税率が約15%、住民税が5%とされており、おおむね合計約20%が標準的な税負担の目安とされています。
一方、所有期間が5年以下の短期譲渡所得では、所得税と復興特別所得税の合計税率が約30%、住民税が9%で、合計すると約39%と長期に比べて大きくなります。
このように、同じ価格で売却しても、所有期間の違いによって手取り額が大きく変わる可能性があります。
売却時期を柔軟に調整できる場合は、所有期間や税率の区分を踏まえて、いつ売るのかを検討することが賃貸中アパートの売却では大切です。

賃貸用として保有してきたアパートは、毎年の減価償却によって帳簿上の取得費が減少している点にも注意が必要です。
国税庁の案内では、譲渡所得の計算上、取得費は実際の取得価額から減価償却費相当額を控除した金額とされており、減価償却を行ってきたほど譲渡所得が大きくなり、結果として税額も増えやすくなります。
また、売却時には仲介手数料や登記費用などの譲渡費用を差し引くことができるため、これらを含めた手取り額の試算を行うことが重要です。
賃料収入や減価償却の状況を踏まえつつ、売却後に手元に残る資金を具体的な数字でシミュレーションしておくと、資金計画を立てやすくなります。

区分 所有期間条件 所得税・住民税の目安
長期譲渡所得 5年超保有 合計約20%課税
短期譲渡所得 5年以下保有 合計約39%課税
譲渡所得計算 取得費・譲渡費用控除 減価償却後の取得費

賃貸中アパートの売却では、ローン残高と売却代金の関係も重要な資金計画のポイントになります。
一般に、アパートに金融機関の抵当権が設定されている場合、売却時にはローンの完済と抵当権抹消が条件となることが多く、売却代金で残債を完済できないと自己資金の持ち出しが必要になる可能性があります。
そのため、現在のローン残高と想定売却価格、諸費用、税金を一覧にし、売却後に手元に残る資金をあらかじめ確認しておくことが大切です。
売却によって得た資金を次の投資や借入金の返済、老後資金などにどのように充てるかも含め、全体の資金計画を意識して賃貸中アパートの売却を検討することが望ましいです。

まとめ

賃貸中アパートの売却は、オーナーチェンジか空室にして売るかで戦略が変わります。
法律や賃貸借契約、敷金や未納賃料の扱い、ローン残高や税金まで、事前確認が非常に重要です。
事前に契約書やレントロールなどを整理することで、買主への説明もスムーズになり、条件交渉もしやすくなります。
当社では、法的な注意点や税金、資金計画まで含めてトータルでサポートいたします。
「自分のアパートはいくらで、どんな売り方が良いか知りたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

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